音の繰り返し反射

 既設の高速道路の高架橋の下側にある、不要となったコンクリート構造物をはつり作業により撤去する工事が橋の周辺に及ぼす騒音の影響を予測した。
 工事区画(コンクリート構造物とその上方空間)は防音シートで囲い、鉛直シート面から橋の長手方向に水平足場面を設置する。 足場面と橋桁下面は平行であり、工事の進捗(コンクリート構造物の高さ低下)に応じて足場の位置を下方に移動し、 足場面と橋桁下面との間隔は拡大する。
 周辺への騒音の影響を解析する過程で、足場上空間の長手方向で測定した騒音レベルの分布が通常の面音源からの距離減衰のようには減衰せず、 距離減衰が比較的小さいことが観察された。そのため、橋の長手方向の騒音の距離変化を足場面と橋桁下面での反射を考慮して解析した。
 防音シート面から放射される音は、足場上作業空間に面したシート面の中央に発生源を設定してモデル化する。 反射音は反射面に関する発生源の鏡像位置から音が発生するとして、受音点への距離減衰により計算する。
 放射された音が足場上の空間に設置した受音点に到達するルートは、➀:直接到達するルート(1ルート)、➁:足場面または 橋桁下面で1回反射した後に到達するルート(2ルート)、➂足場面と橋桁下面の両方で合わせて2回反射してから到達するルート (2ルート)、等々無数のルートがあり、これらが合成されたものが受音点で受音される。

放射面からの騒音の距離分布(工事開始日:空間高さ2m)

距離減衰(空間高さ2m)

放射面からの騒音の距離分布(工事中間日:空間高さ3m)

距離減衰(空間高さ3m)

コメント

・受音レベルの計算値は、直達音だけ(=反射なし)に比べて、反射1回、反射2回が加わるごとに着実に実測値に近づいている。
・何回でも反射して受音点に到達することができるので、計算値は反射を重ねるごとに実測値に近づくと予想される。
・ただし、反射率は実際には1より小さいので、反射回数が増えるごとに減衰が加わり、受音レベルの増加は鈍る。

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