粉粒体のホッパ形状設定において、マスフローの場合の架橋限界径とファネルフローの場合のラットホール限界径とは大きく異なるので、
フローパターンを決定するマスフロー限界角を正確に決定することが重要である。
マスフロー限界角は壁面摩擦角によって影響を受けるが、測定された垂直応力(横軸)-壁面剪断応力(縦軸)の関係である
壁面破壊包絡線(WYL)の形状によっては、解釈により異なる壁面摩擦角が得られる。壁面破壊包絡線は原点を通る直線であれば明快であるが、
一般には剪断力に多少の切片を持ち、上に凸の形状を取る。
そのような場合は、原理的には、排出口端の最大主応力(σ1)を最大主応力とし有効破壊包絡線(EYL)に接するするモール円と
WYLとの交点(大きいほう)を求め、この点と原点を結ぶ直線の傾斜角を採用することになる。
➀ 実際の排出口端のσ1は壁面摩擦角(φw)の試験範囲の中ではかなり低い位置にあるので、測定結果に近似曲線を当てはめるときに、
相当に小さい応力範囲の測定点に対して原点を通る直線を当てはめるのが最も問題が少ない方法と考えられる。
切片のない直線なので、摩擦角の定義が明快だからである。
➁ 別の方法として、切片を持つ1次式を当てはめた傾きをまず用いて限界形状の算定を行い、その後に、
モール円との交点から摩擦角を読み直して、再度限界形状を算定する方法がある。
実行した例では、マスフロー判定とファネルフロー判定を行き来して、形状が収束しない結果となった。したがって、この方法は推奨できない。
➂ 既定のホッパ形状が与えられていて、摩擦角の適用方法によってマスフローにもファネルフローにもなり得る場合は、
マスフロー限界径とファネルフロー限界径の中間(または外側)にある既定の排出口径から排出口端におけるσ1を内挿(または外挿)で求めて、
そのσ1から決まるモール円とWYLとの交点から摩擦角を読み直す方法もある。σ1を強制的に与えるので、壁面摩擦角は収束し、
フローパターンは確定する。
・破壊包絡線とモール円の図は、ホッパ排出口端の応力状態を表す。
・WYLと大モール円との大きいほうの交点で壁面摩擦角φwを決める。